行動を規制しなければ、生命と雇用の両方が犠牲となりかねない

政策アプローチで暗黙の大前提となっているのは、政府には国民の生命を守るのと同時に雇用を守る責務があり、これらの間でバランスをとらなくてはならない、という発想だ。経済にとってプラスとなるのなら、ソーシャルディスタンス(行動規制)を緩めて国民の健康が多少犠牲になったとしても、その政策は正当化される、という考え方である。

だが、高い死亡率と他国同様の経済悪化というスウェーデンの悲惨な結果は、「国民の命か、経済か」という選択肢が間違っていることを示唆している。行動を規制しなければ、生命と雇用の両方が犠牲となりかねない。