わたしたちは利他的であることにより、全員が利益を得ることができる

「アリの一言」より転載

わたしたちは利他的であることにより、全員が利益を得ることができる。それがコロナ危機の教訓の一つなのだ」(23日付中国新聞=共同掲載の論稿「コロナワクチンの偏在」)

 

 最上敏樹国際基督教大名誉教授(国際法)も、コロナ禍の当初から、国家の強権発動を待望する傾向が一部にあることに対し、逆に問われるべきは「デモクラシーの問題である」とし、「この危機への対処に大きな責任を持つ人々、とりわけ(菅)首相や(小池)都知事の発言の中で、「民主主義」あるいは「デモクラシー」という言葉が使われたことがあったか」と指摘し、こう主張していました。

「来るべき世界は、何の分野であれ無用の敵対的競争を抑制し、自然とも和解し、人間が境界を越えて共生する世界であるだろう。…それは他者と共に生き残ることを本気で構想する≪利他的生き残り≫の哲学に立ったものでなければならない。…昨日の世界の回復ではなく、新しい世界に向けた再出発が、いま必要になっているのだ」(最上敏樹氏「世界隔離を終えるとき」、村上陽一郎編『コロナ後の世界を生きる』岩波新書2020年7月所収)

 コロナ禍の不安は拭えませんが、それでも、それだからこそ、これを奇貨として新しい世界を目指す必要があります。その基盤は、自分や家族の安心・安全だけでなく、社会的弱者・マイノリティを含む日本中の、そして途上国をはじめとする世界中の人々の安心・安全・幸福を求めること。「他者と共に生きることを本気で構想する<利他的生き残り>の哲学」に学びたいと思います。